令和の「空き家」問題と、雑草が語る見えないリスク

令和の「空き家」問題と、雑草が語る見えないリスク

五月の連休が明けようとしている。子どもの日を挟んだこの時期は、かつて家族総出で庭の草むしりをしたという記憶を持つ方も少なくないだろう。昭和から平成にかけて、庭のある一戸建てに暮らす家族が草取りをする光景は、ごく日常的な風景だった。しかし今、その「庭」を誰も手入れしないまま放置された家が、日本中に静かに増え続けている。

空き家問題が社会課題として語られるようになって久しい。国土交通省のデータによれば、全国の空き家数は過去最多水準を更新し続けており、少子高齢化と人口流出が進む地方だけの話ではなく、都市近郊の住宅地にも着実に波及している。相続した実家をどうすればいいかわからないまま数年が経過し、気づけば近隣住民からの苦情が届いていた、というオーナーの話は今や珍しくない。そしてその苦情の多くに、共通して登場するキーワードがある。雑草だ。

雑草管理の現場で長年働くプロたちが口を揃えて言うことがある。「素人の方は、草が伸びているのを見た目の問題だと思っている。でも実際は、それだけでは済まないんです」という言葉だ。

たとえば、空き家の庭に繁茂したセイタカアワダチソウやクズは、一年でフェンスや外壁の隙間に根を張り込む。根が構造物の目地やひび割れに侵入することで、建物の基礎にまで影響が及ぶケースがある。さらに深刻なのは、背丈を超えた草むらが害虫や害獣の住処となることだ。マムシやスズメバチの巣が発見された例は各地で報告されており、隣地の住人が知らずに近づいて被害を受けるという事故も起きている。こうした場合、土地のオーナーが管理責任を問われる可能性は十分にある。

素人判断で危ういのは、「自分で草刈り機を借りてやればいい」という発想だ。確かに地上部の草を刈ることはできる。しかし、雑草管理のプロが真っ先に確認するのは根の種類と土中の状態だ。地下茎で繁殖するチガヤやススキは、地表を刈っても数週間で元通りになる。適切な除草剤の選定と散布のタイミング、その後の防草シートや砂利敷きまでを一連の処置として設計しなければ、同じ作業を毎年繰り返すだけになる。費用対効果という観点で見れば、素人による場当たり的な対処は、長期的にはプロへの依頼よりも高くつくことが多い。

また、隣地との境界線上に生えた植物の越境問題は、民法改正によって令和時代に新たな局面を迎えている。以前は「枝は勝手に切れない」というのが原則だったが、現在は一定の条件のもとで隣地の枝を切除できるよう法律が整備された。しかしこれは、逆に言えば自分の土地から越境した草木を放置すれば、隣人から法的対応を取られるリスクが高まったということでもある。オーナーが知らないうちに、トラブルの火種が育っていることになる。

一人のオーナーが、相続した空き家の管理を、法律の変化を追いながら、建物の劣化状況を見ながら、近隣との関係も保ちながら、すべて独力でやり遂げるには限界がある。それは能力の問題ではなく、情報と専門技術の問題だ。草一本に見えるものが、実は建物・法律・人間関係という三つのリスクをはらんでいる現代において、地域の実情を熟知し、適切な処置と予防策を提示できるプロの存在は、もはや贅沢ではなく必需品と言っていい。

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